積み込みの妙味

仕事の話。

長いよ。

うちの会社に１０ｔ車が来た。
中は家具家電でウルトラフル積載。

後部リフトは不注意に開けると瞬間で雪崩が起きるほど。
いや、起きるからちゃんとラッシング（ベルト締め）してあったんだけど・・・。
内容は、ざっとだけど冷蔵庫洗濯機が２０、食器棚１０、タンス１０、ソファ５、ダイニングテーブル３、クローゼット・・・
隙間は小物商品でパテのように埋め込んであった。

全部下ろしきるのに、本州から寝ずに来たドライバーとオレの２人で二時間かかった。
一緒に下ろし作業をやる予定で最初に来てたはずのBUCHOOが、いざ下ろし始めると同時に超自然に行方をくらまし、一番最後に片付けている頃にフッと出て来て毛布を３枚たたんで帰っていった。
・・・とか書くと悪意に満ちるが、まあでも上の人ってのは体じゃなくて頭と他人を使う仕事だからな。今回、ここはいいんだ。

養生しながら積み込むから、だいたい５時間かかるらしい。

でも、これは「５時間しかかかっていない」という理解が必要だ。

引越し屋とまではいかないが、積み込みの難しさはわかっているつもりだ。
荷物の下ろす方は、モノをかわすスペースさえあればとりあえずどうにでも置けるからさほど難しくないが、
荷物を積み込む方は、その上げ作業の大変さもあるけど何よりも「限られた空間に隙間なく入れ込む」という真髄がある。
短時間で積まないと次を待っているトラックに迷惑をかける、かといって考えなしにただ急いで積んでも、多くのものは入れられない・・・とか、いろいろ外的な制約も多い。

外せるものは外す、でも分解はしない。その絶妙なせめぎあいで積み込まれた内容は、ちょっとくらい鑑賞に浸ってもいいくらいのものだった。
この１０ｔ車に積み込まれていたように、四角い箱の中に四角くなるように丸ダイニングを積めるかと言うと、オレは相当考えないと無理だ。
例えばだけど、あと１台洗濯機が乗らずにもう一回本州からそれだけのために来るなんてことはできない。
それを考えたら最初から１センチの隙間も詰めて載せる。１００個並べたら１ｍの空間を積むのと一緒だから。
オレも運搬をするけど、駆け出しの頃はソファベッドを立てて置かずに平置きして中身スッカスカで帰ってきて「お前が積んで帰ってきた空気って０円だよね、もっとうまく積み込んで来い」って言われたことがある。

ドライバーさんが長距離の人だから、荷崩れがないように積み込んでいるだけなのかもしれないけど、
オレからすれば、１０ｔ車レベルが載せている内容量とその積載術を初めて目の当たりにしたわけで、とにかく驚いた。
この大小混在で５００点近いモノを５時間で積み込めるそのスピードが職人中の職人と思える。

全部下ろし終わるとアテ（商品を防護する毛布）だけになるんだけど、その数は１００枚以上。
せいぜい２トン車で１０枚たたむのも面倒なオレからすると、こんなところがオドロキだったよ。

消しゴムの１個も入らないくらい積めるようになるのが目標なんだそうでｗｗｗ
そもそも、折れ曲がらない１０ｔ車が住宅街の路地をバックで入ってきたときから何かオーラを感じてたよ。
消しゴムてｗ、そんな突き詰めなくても既に境地でしょうに、
齢５０のおっちゃんがいまだ目標に到達せずとしているその姿勢。
オレはかっこよさと畏怖でちびりそうになったｗ



さて。前回日記で少し書いたことだけど・・・

異動初っ端で引継ぎもくそもなく、この大仕事が入るということを誰も言ってくれないって、おかしかろうがやんｗ

とにかく、受け入れやんなきゃってことで、荷下ろしスペースを作るのために市内外から１０店舗に無理を頼んで
溜まりまくった商品を持って行ってもらって満足なスペースを出すのに３日かかった。いや、３日で準備したと思おう。

儲かっている会社こそ、倉庫は総じて基本は空なんだそうで。
置けないから近くに置く、の繰り返しで溜まりに溜まった倉庫とは大違いである。

四苦八苦で頑張った今回、１０ｔ積載の積み方に感動した件とは別にもうひとつ、改めて思ったこともある。

理不尽を突きつけられて筋肉痛になろうが怪我しようがしまいが「求められるのは結果だけ」。

今回で言えば、「倉庫整理ができたか、できていないか」。
大変だったね、きつかったね、かわいそうだから給料上げるねなんていう天国みたいな会社はない。ないけどもやん。
ねぎらう気持ちもないのか、BUCHOOって人の血通ってんのかよと思ってたらさすがに今回はジュースをもらった。
嬉しかったけど、置いてたら誰かに飲まれてた・・・おいｗ